名古屋市の就労移行支援事業所を徹底解説|選び方・費用・手続き・定着支援まで(2025年版)

「名古屋市で就労移行支援を利用したいけど、どの事業所を選べばいいかわからない」
「事業所が多くて、見学しても違いがピンとこない」
「費用はどれくらい? 受給者証って何? 手帳がなくても使える?」

就労移行支援は、“就職する”ことを目的にした福祉サービスです。だからこそ、合う事業所を選べるかどうかで、就職のしやすさ・続けやすさが大きく変わります。

名古屋市には指定就労移行支援事業所が多数あり、令和7年11月1日現在で「78か所」が一覧として公表されています。

※一覧は概ね3か月ごとに更新される予定のため、最新情報は公式サイトで確認するのが確実です

この記事では、名古屋市で就労移行支援を探す方に向けて、制度の基本から事業所の探し方、選び方のポイント、料金・手続き、就職後の定着支援までを、公式情報をもとにわかりやすくまとめました。

介護・障害情報提供システム「就労移行支援事業所授業書78ヶ所」
https://www.kaigo-wel.city.nagoya.jp/_files/00147989/r07110001.pdf


目次

1. 名古屋市の就労移行支援事業所とは

就労移行支援とは

就労移行支援は、障害のある方が一般企業への就職(一般就労)を目指すときに、就職準備から就職活動、就職後のフォローまでを受けられるサービスです。

事業所によって提供内容は異なりますが、一般的には次のような支援が受けられます。

支援の内容
  • 生活リズムを整える、通所習慣をつくる
  • ビジネスマナー、報連相、コミュニケーションの練習
  • PCスキル(Word・Excelなど事務系、プログラミングなどIT系)
  • 履歴書・職務経歴書の作成サポート、面接練習
  • 企業見学・企業実習(職場体験)
  • 就職後の職場定着に向けた相談・調整

利用期間は原則2年間。ただし「2年で必ず就職しないといけない」わけではなく、必要性が認められれば延長できる場合もあります。

まずは「就職につながる準備を、現実的な計画で積み上げる」場所だと考えてください。

また、令和30年4月からは65歳以上の方も、要件を満たせば利用できるようになっています。

名古屋市内の事業所数

名古屋市は、指定就労移行支援事業所一覧(PDF)を公式サイトで公開しています。

令和7年11月1日現在で「78か所」。名古屋駅・栄・金山など交通の便が良いエリアを中心に、市内各所に事業所が点在しています。

※図解でエリアごとの事業所数などを表現する予定です

一覧は概ね3か月ごとに更新される予定です。最新の増減は公式の事業所検索で確認するのが確実です。

対象者と利用条件(手帳は必須?)

「障害者手帳がないと利用できない」と思われがちですが、実際はそうとも限りません。

就労移行支援を利用するために必要なのは、障害者手帳そのものではなく「障害福祉サービス受給者証」です。

この受給者証は、お住まいの区役所に申請して、認定調査や医師意見書などをもとに支給決定を受けることで交付されます。

つまり、手帳がなくても医師の診断書・意見書があれば利用できるケースはあります。

最終判断は名古屋市(区役所)が行うので、迷ったら早めに区役所福祉課に相談してみてください。

厚生労働省「障害者の就労支援について」
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000797543.pdf
厚生労働省「障害者福祉施設における就労支援の概要」
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11801000-Shokugyounouryokukaihatsukyoku-Soumuka/0000032713.pdf
厚生労働省「障害者総合支援法における就労系障害福祉サービス」
https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/000865126.pdf

2. 名古屋市で就労移行支援を利用するメリット

相談先が複数ある

名古屋市では、障害者の就労に関する相談窓口として「障害者就労支援センター」が設置されています。

名古屋市在住の方は、以下の4つのセンターをすべて利用できます

センター名所在地電話番号
なごや障害者就業・生活支援センター北区大曽根二丁目9-25052-908-1022
障害者就労支援センターめいしんれん中村区中村町七丁目84-1052-433-6574
障害者就労支援センターめいりは瑞穂区弥富町密柑山1-2052-835-3837
名古屋市障害者雇用支援センター熱田区千代田町20-26052-678-3333

※いずれも月~金(祝休日除く)午前9時~午後5時

「どの就労移行支援事業所がいいかわからない」「事業所比較で第三者の意見がほしい」というときに、これらの相談窓口を使えるのは心強いです。

交通の便がいい

就労移行支援は週5日通所することが多いため、「無理なく通えるか」はかなり重要です。

名古屋市は地下鉄・JR・名鉄・近鉄など交通網が発達しており、名古屋駅・栄・金山といったターミナル駅周辺に事業所が集中しています。岐阜や三重から通う方もいます。

一方で、在宅訓練やオンライン対応ができる事業所もあるので、体調に波がある方は見学時に確認しておくといいでしょう。

名古屋市公式ウェブサイト「障害者就労等の相談支援機関の案内」https://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/page/0000040367.html


3. 就労移行支援事業所の選び方|失敗しにくい「7つのチェック」

名古屋市には78か所も事業所があるので、「どこを選べばいいかわからない」という方は多いはず。

ここでは、見学時に何を確認すべきかまで具体的にまとめます。

① 自分の「つまずきポイント」に支援が当たっているか

就労移行支援で大事なのは、プログラムの種類の多さではなく、「自分の苦手なところに支援が届いているか」です。

  • 朝起きられない・体調に波がある
    通所設計の柔軟さ、在宅対応の有無
  • コミュニケーションが苦手
    SST(ソーシャルスキルトレーニング)の内容
  • 作業はできるがミスが多い
    手順化やダブルチェックの仕組み
  • 面接で落ちてしまう
    面接練習の回数、フィードバックの質

「自分の課題 → 支援 → 就職・定着」の線がつながるかどうかを、見学で確認してください。

② カリキュラムが「就職につながる順番」になっているか

学習内容が魅力的でも、就職に直結しない順番で進むケースがあります。

理想的な流れは、

  1. 生活リズムを整える・通所を安定させる
  2. 自己理解(特性・配慮事項・対処法を言語化)
  3. 職種選定(向き不向き、職場環境の条件を整理)
  4. 実習・模擬職場で「職場に近い負荷」を経験
  5. 応募・面接・職場定着支援

「何を学べるか」だけでなく、「どんな順番で就職に近づくか」を聞いてみてください。

③ 実績は「就職率」だけで判断しない

厚生労働省の資料によると、令和5年の就労移行支援からの一般就労移行率は58.8%です。

ただし、事業所を選ぶときに大事なのは数字だけではありません。

数字以外に重視したいポイント
  • 自分が希望する職種への実績があるか
  • 企業実習を経てマッチングしているか
  • 就職後のフォローで「辞めにくい」仕組みがあるか

上記のような点もしっかり確認したいところです。

見学時には、

「直近1年で就職した方の職種内訳を教えてください」
「実習から就職に至った割合は?」
「就職後3か月〜6か月で困りやすいことと、そのときの支援は?」

などの質問を行うことで、比較しやすくなります。

④ スタッフは「資格」より「関わり方」で見る

精神保健福祉士や公認心理師などの資格を持つスタッフがいると安心材料にはなります。ただ、資格以上に重要なのは関わり方です。

関わり方のポイント
  • 面談の頻度(週1回?隔週?)
  • 支援計画の作り方(本人の希望が反映されるか)
  • 企業への説明力(配慮事項を言語化して伝えてくれるか)

ここが弱いと、就職できても定着が不安定になりがちです。

⑤ 通いやすさは「時間」だけでなく「負荷」も見る

「片道1時間以内」を目安にする記事は多いですが、実際はその他にも確認したいポイントがあります。

確認したい負荷の例
  • 乗り換え回数
  • 通勤ラッシュの混雑
  • 駅からの徒歩距離(天候・坂道・人混み)

上記のようなポイントも含めて、「週3日 → 週5日に増やしても続けられるか」で判断するのが現実的です。

⑥ 交通費・昼食は「有無」だけでなく条件を確認

交通費補助や昼食提供がある事業所もありますが、内容は事業所によってバラバラです。

  • 「上限はいくらか」
  • 「どういう条件で支給されるか」
  • 「申請方法は」

上記のポイントまで確認しておくと、あとで困りません。

⑦ 在宅訓練・オンライン対応は「制度化」されているか

「体調が悪い日はオンラインOK」と言われても、実際にはほとんど使われていないケースもあります。

  • 在宅訓練の対象条件
  • 週何回まで・何か月まで利用できるか
  • 面接練習や応募書類添削もオンラインで対応できるか

を具体的に聞いておくと失敗しにくいです。

株式会社KyoMiでは、名古屋市内で就労移行支援事業所「はたらくの窓口 今池校」「はたらくの窓口 有松校」を運営しています。

「どの事業所が自分に合っているかわからない」「まずは相談だけしたい」という方も、お気軽にお問い合わせください。

厚生労働省「障害者就労の現状」
https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001379219.pdf


4. 名古屋市の就労移行支援事業所のタイプ別特徴

名古屋市内の事業所は、大きく以下のタイプに分けられます。

総合型(幅広い職種・支援)

  • 生活リズムを整えるところから就職活動まで一通り対応
  • 事務・軽作業・接客補助など幅広い職種に対応
  • 「まだ何がしたいかわからない」という方の最初の一歩に向いている

IT・事務スキル強化型

  • PC・プログラミング・Webデザインなどの学習が充実
  • 在宅ワークを視野に入れたい方に合う場合がある
  • ただし「学んだスキル → 就職先」が本当につながるかは要確認

特性別サポート重視型(発達障害・精神障害など)

  • 自己理解、ストレス対処、環境調整のプログラムが充実
  • 「働き続ける」ための支援設計がしっかりしているところが強い

タイプはあくまで入口。最終的には「自分の課題 → 支援 → 就職・定着」がつながるかどうかで決めてください。

名古屋市介護・障害情報提供システム「指定就労移行支援事業所一覧(78か所)」  https://www.kaigo-wel.city.nagoya.jp/_files/00147989/r07110001.pdf


5. 名古屋市で事業所を探す最短ルート

迷ったら、以下の順番で進めるとスムーズです。

STEP
公式一覧で候補を出す

名古屋市の公式サイトで、指定就労移行支援事業所一覧(PDF)を確認できます。自宅や最寄り駅から通いやすいエリアで、10か所くらい候補を出してみてください。

STEP
各事業所のサイトをチェック

「対象(得意な障害種別)」「強み」「プログラム内容」「企業実習の有無」「就職先の例」などを確認します。

STEP
2〜3か所に絞って見学

比較することを前提に、複数の事業所を見学しましょう。見学は1か所だけだと「良いのか悪いのか」判断しにくいです。

STEP
できれば体験利用

1日・半日でも、実際のプログラムに参加してみると雰囲気がわかります。

STEP
区役所で受給者証の手続きへ

利用する事業所が決まったら、お住まいの区役所福祉課で受給者証の申請を行います(詳しくは次章で解説)。

名古屋市介護・障害情報提供システム「指定就労移行支援事業所一覧」
https://www.kaigo-wel.city.nagoya.jp/view/wel/fukushi/shurouikouichiran.html


6. 就労移行支援の利用料金|名古屋市での自己負担上限は?

利用料金の仕組み

障害福祉サービスは原則1割負担ですが、世帯収入に応じて月額の上限が設定されています。

名古屋市の資料でも、利用者負担は「上限額まではサービス費用の1割」「上限を超えた分は負担なし」という仕組みが説明されています。

自己負担上限額の目安

区分世帯収入の目安月額上限
生活保護世帯生活保護受給中0円
低所得市町村民税非課税世帯0円
一般1市町村民税課税世帯(所得割16万円未満)9,300円
一般2上記以外37,200円

※18歳以上の場合、「世帯」は本人と配偶者のみ。親の収入は含まれません。

実際には、利用者の約9割が自己負担0円で通所しているという事業所も多いです。「無料で利用できるか」は収入状況によって異なるので、見学時や区役所で確認してください。

交通費・昼食代などの実費

利用料以外に、交通費や昼食代がかかる場合があります。事業所によっては交通費補助や昼食提供があるので、経済面が心配な方は見学時に確認しておきましょう。

厚生労働省「障害福祉サービス・障害児通所支援等の 利用者負担認定の手引き」
https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001513517.pdf
名古屋市公式「障害者福祉」
https://www.city.nagoya.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/027/487/07syougaisyap68-p91.pdf


7. 利用開始までの流れ|名古屋市の手続き(受給者証)

STEP
相談・情報収集

まずは区役所福祉課、支所区民福祉課、障害者基幹相談支援センターなどに相談します。

就労について相談したい場合は、前述の「障害者就労支援センター(4か所)」も活用できます。

STEP
利用申請

利用したいサービスが決まったら、区役所に申請します。必要に応じて相談支援事業者が「サービス等利用計画案」の作成をサポートしてくれます。

STEP
認定調査(80項目)

心身の状況などについて、80項目の認定調査が行われます。

STEP
障害支援区分の認定

認定調査と医師意見書をもとに審査会で審査・判定が行われ、支給決定となります。

STEP
受給者証交付 → 事業所と契約 → 利用開始

支給決定後に受給者証が届いたら、事業所と契約して利用開始です。

各区役所福祉課の連絡先

電話番号電話番号
千種区052-753-1823中川区052-363-4406
東区052-934-1173港区052-654-9712
北区052-917-6550南区052-823-9652
西区052-523-4582守山区052-796-4590
中村区052-453-5323緑区052-625-3962
中区052-265-2254名東区052-778-3054
昭和区052-735-3957天白区052-807-3893
瑞穂区052-852-9382
熱田区052-683-9906

ウェルネット名古屋「福祉サービス利用の基本的な手続きの流れ」
https://www.kaigo-wel.city.nagoya.jp/view/wel/service/procedure.html


8. 就職後の定着支援|「就職して終わり」にしない仕組み

定着支援とは

就職後に「思っていた仕事と違った」「人間関係がうまくいかない」「体調を崩した」などの理由で辞めてしまうケースは少なくありません。

これを防ぐために、就労移行支援事業所には就職後6か月間の職場定着支援が義務づけられています。その後も、希望すれば就労定着支援(最長3年間)を利用できます。

定着支援で受けられるサポート

  • 職場での困りごとの整理(業務量、人間関係、体調など)
  • 企業への連絡調整(配慮事項の確認・見直し)
  • 通院や生活面の相談
  • 「辞める前に相談できる」体制づくり

事業所選びで見るべきポイント

就職率よりも、「就職後3か月〜6か月の支援がどう動くか」を聞くほうが大事です。定着支援が手厚い事業所は、そもそも就職前のマッチングも丁寧な傾向があります。

厚生労働省「就労定着支援の実施について」
https://www.mhlw.go.jp/content/001240305.pdf


9. よくある質問(FAQ)

名古屋市で事業所を探すとき、最新情報はどこで確認できる?

名古屋市の公式一覧(PDF)と、案内されている「障害福祉サービス事業所検索」が確実です。一覧は概ね3か月ごとに更新される予定です。

費用が心配。上限はある?

障害福祉サービスは原則1割負担ですが、世帯収入に応じて月額上限が設定されます。非課税世帯なら0円、課税世帯でも9,300円〜37,200円の上限があります。

就職できる確率は?

厚労省の資料では、令和5年の就労移行支援からの一般就労移行率は58.8%です。ただし、事業所選びでは「自分の希望職種への実績があるか」「定着支援が充実しているか」まで見るのがおすすめです。

障害者手帳がなくても利用できる?

医師の診断書・意見書があれば、手帳がなくても利用できる場合があります。最終判断は区役所が行うので、早めに相談してみてください。

週5日通えなくても大丈夫?

事業所によりますが、週2〜3日・半日から始められるところも多いです。見学時に「最初は週何日から通えますか?」と確認しておきましょう。

利用期間(2年)は延長できる?

やむを得ない事情がある場合、市区町村の判断で延長が認められることがあります。希望する場合は早めに事業所・区役所に相談してください。


10. まとめ|名古屋市で「自分に合う就労移行支援」を見つけるには

名古屋市の指定就労移行支援事業所は、令和7年11月1日現在で78か所。数が多いからこそ、「自分に合う支援設計かどうか」が選ぶポイントになります。

選ぶときの要点
  • 公式一覧 → 沿線で候補を絞る → 2〜3か所見学が最短ルート
  • 見学では「課題 → 支援 → 成果」がつながるかを確認
  • 実績は「就職率」だけでなく、職種・実習・定着支援で判断
  • 料金は原則1割負担だが、上限あり(0円のケースも多い)
  • 手続きは申請 → 認定調査(80項目)→ 医師意見書 → 審査 → 支給決定

焦って決める必要はありません。複数の事業所を比べて、「ここなら通い続けられそう」「ここなら就職後も相談できそう」と思える場所を選んでください。


この記事を読んだ方へ

株式会社KyoMiでは、名古屋市内で就労移行支援事業所「はたらくの窓口 今池校」「はたらくの窓口 有松校」を運営しています。

「どの事業所が自分に合っているかわからない」「まずは相談だけしたい」という方も、お気軽にお問い合わせください。