「また同じミスをしてしまった…」「なぜ自分だけこんなに仕事ができないんだろう」――そんな思いを抱えながら、この記事にたどり着いたあなたへ。
まず最初にお伝えしたいことがあります。仕事が続かないのは、あなたの努力が足りないからでも、人間性に問題があるからでもありません。
それは脳の特性によるもので、適切な対策と環境があれば改善できる問題なのです。
この記事では、発達障害の特性で仕事が続かない理由を脳科学的に理解し、具体的な対策から向いている仕事、利用できる支援制度まで徹底的に解説します。
読み終える頃には、「自分にも働き続けられる道がある」という希望を感じていただけるはずです。
発達障害で仕事が続かない――あなただけじゃない、その理由
仕事が続かないことに深く悩んでいるあなたは、決して一人ではありません。
まずは発達障害の特性が、なぜ仕事の継続を難しくするのか、脳科学的な視点から理解していきましょう。
ケアレスミスが多発する脳の特性とは
「何度確認してもミスをしてしまう」「同じ注意を繰り返される」――これは決してあなたの不注意や怠慢ではありません。
発達障害、特にADHD(注意欠如・多動性障害)の場合、脳の前頭葉の働きに特性があることが分かっています。
前頭葉は「注意をコントロールする」「情報を一時的に保持する」といった役割を担っており、この部分の機能が定型発達の人と異なるため、以下のような困りごとが生じやすいのです。
- ワーキングメモリ(作業記憶)が弱く、指示を聞いてもすぐ忘れてしまう
- 注意が持続しにくく、集中が途切れやすい
- 衝動的に行動してしまい、確認作業を飛ばしてしまう
- 複数の情報を同時に処理するのが苦手
つまり、ケアレスミスが多いのは「脳の情報処理の仕方が違う」だけであって、あなたの人格や能力の問題ではないのです。
マルチタスクが苦手な理由を脳科学から理解する
「電話対応しながらメモを取る」「複数の案件を並行して進める」――こうした状況で頭が真っ白になったり、パニックになったりした経験はありませんか?
発達障害の特性を持つ人の脳は、一つのことに集中する「シングルタスク」には強い一方で、複数の情報を同時に処理する「マルチタスク」が非常に苦手です。
これは脳の「実行機能」と呼ばれる部分の特性によるものです。
定型発達の人の脳は、複数のタスクを素早く切り替えながら処理できますが、発達障害の特性がある場合、この切り替えに時間がかかったり、混乱したりしやすいのです。
- マルチタスクが苦手なのは「能力不足」ではなく「脳の特性」
- 逆に一つのことへの集中力は、定型発達の人より優れていることも多い
- この特性を理解して環境を調整すれば、十分に力を発揮できる
「なぜ自分だけ?」と思う前に知っておきたい3つの事実
周囲の人が当たり前にできていることができない自分に、深い絶望を感じることがあるかもしれません。でも、以下の3つの事実を知ってください。
- 【事実1】発達障害は決して珍しくない
文部科学省の調査によれば、学習面や行動面で著しい困難を示す児童生徒の割合は約8.8%。
つまり、クラスに2〜3人程度の割合で発達障害の特性を持つ人がいる計算になります。
大人になって診断を受ける人も年々増加しており、あなたは決して「特別」ではありません。 - 【事実2】特性は「欠点」ではなく「個性」
発達障害の特性には、必ずプラスの側面があります。
ADHDの「過集中」は驚異的な生産性を生み出しますし、ASD(自閉スペクトラム症)の「こだわり」は専門性の高さにつながります。
問題は特性そのものではなく、その特性に合わない環境にいることなのです。 - 【事実3】適切な支援を受ければ定着率は大きく向上する
就労移行支援事業所を利用した人の就職後の定着率は、1年後で約70%以上というデータもあります。
自分に合った環境と支援があれば、仕事を続けることは十分に可能なのです。
<出典元>
文部科学省「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果(令和4年)」
https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/2022/1421569_00005.htm

発達障害で仕事が続かない人によくある5つのパターン
ここからは、発達障害の特性で仕事が続かない人に共通して見られるパターンを紹介します。
「まさに自分のことだ」と思う項目があっても、落ち込む必要はありません。パターンが分かれば、対策も見えてきます。
パターン1: 指示の聞き漏らし・理解不足でミスを繰り返す
よくあるシーン
- 上司から口頭で複数の指示を受けたが、最初の内容を忘れてしまう
- 「あれやっておいて」など曖昧な指示だと、何をすればいいか分からない
- メールの文章を読み飛ばして、重要な情報を見落とす
ADHDのワーキングメモリの弱さが原因です。脳が一度に保持できる情報量が少ないため、複数の指示を受けると後半部分しか覚えていなかったり、文章の重要な部分を読み飛ばしたりしてしまいます。
パターン2: 優先順位がつけられず納期に間に合わない
よくあるシーン
- 緊急度の低いタスクに時間をかけすぎて、重要な仕事が間に合わない
- 「どれから手をつければいいか分からない」と固まってしまう
- 締め切り直前まで手をつけず、慌てて徹夜する
実行機能の特性により、タスクの重要度や緊急度を適切に判断するのが難しいためです。また、興味のあることには過集中してしまい、時間配分を誤ることもあります。
パターン3: 感覚過敏で職場環境に適応できない
よくあるシーン
- 蛍光灯の光や電話の音で頭痛がする
- 満員電車での通勤だけで疲れ果ててしまう
- オープンオフィスの雑音が気になって集中できない
ASDの特性として、聴覚・視覚・触覚などの感覚が過敏な場合があります。定型発達の人が気にならない刺激でも、脳が過剰に反応してしまい、それだけで疲労が蓄積します。
パターン4: コミュニケーションのズレで孤立してしまう
よくあるシーン
- 雑談が苦手で、休憩時間が苦痛
- 相手の表情や空気を読むのが難しく、場違いな発言をしてしまう
- 報連相のタイミングが分からず、後から叱られる
ASDの特性として、暗黙のルールや「察する」コミュニケーションが苦手な場合があります。言葉通りに受け取ってしまうため、皮肉や冗談が理解できないこともあります。
パターン5: 過集中と燃え尽きを繰り返してしまう
よくあるシーン
- 興味のある仕事は何時間でも続けられるが、突然エネルギーが切れる
- 最初は頑張りすぎて高評価だったのに、数ヶ月後に突然出社できなくなる
- 「できる」と「できない」の波が激しく、周囲に理解されない
ADHDの過集中の特性により、自分のキャパシティを超えて働き続けてしまい、ある日突然限界が来てしまいます。疲労の蓄積に気づきにくいのも特徴です。
仕事を続けるための5つの具体的なコツとツール活用術
ここからは、発達障害の特性があっても仕事を続けやすくするための、今日から実践できる具体的な対策をご紹介します。
コツ1: タスク管理アプリで「やることリスト」を視覚化する
おすすめツール
| ツール名 | 特徴 | おすすめポイント |
| Trello | カード形式で視覚的に管理 | ドラッグ&ドロップで直感的に操作可能 |
| Todoist | シンプルなチェックリスト型 | 優先度設定や繰り返しタスクに強い |
| Notion | 自由度の高いカスタマイズ | 自分専用のダッシュボードが作れる |
| Google Keep | 付箋感覚で使える | スマホとPCで即座に同期できる |
- 朝一番に今日やることを3つだけリストアップ
- 完了したタスクは削除ではなくアーカイブして「達成感」を可視化
- 「5分以内で終わること」は別枠にして、隙間時間に消化
コツ2: セルフチェックリストでミスを事前に防ぐ仕組み作り
ミスが起こりやすい場面では、確認項目を言語化したチェックリストを用意しましょう。
チェックリストの例(メール送信前)
- 宛先のアドレスは正しいか?
- 添付ファイルは正しいものか?
- 本文に誤字脱字はないか?
- 締め切りや日時の記載は正しいか?
- CCに入れるべき人は漏れていないか?
- 最初は面倒でも、一度作れば何度でも使える「資産」になる
- スマホのメモ帳やEvernoteに保存しておく
- 同僚に「私はチェックリストを使っています」と伝えることで、理解も得られる
コツ3: 上司・同僚への「取扱説明書」で理解を得る伝え方
発達障害の特性を周囲に理解してもらうことは、働きやすさに直結します。ただし、伝え方には工夫が必要です。
伝え方のテンプレート
「お忙しいところ恐れ入ります。
実は私、〇〇(マルチタスク/口頭での指示の記憶など)が苦手な特性がありまして、
△△(メモを取る/一つずつ確認するなど)していただけると、
ミスを減らせて助かります。
ご配慮いただけると嬉しいです」
- 診断名を出すかどうかは自分で判断(出さなくても配慮は求められる)
- 「苦手なこと」と「助かる対応」をセットで伝える
- 「迷惑をかける」ではなく「より良い仕事をするため」と前向きに
コツ4: 刺激をコントロールできる作業環境の整え方
感覚過敏がある場合、環境調整は非常に有効です。
具体的な対策
- 聴覚過敏
ノイズキャンセリングイヤホン(Sony WF-1000XM5など)、耳栓 - 視覚過敏
PCの画面輝度を下げる、ブルーライトカットフィルム - 触覚過敏
肌触りの良い服を選ぶ、タグを切る - デスク環境
パーテーション設置、観葉植物で視界を区切る
「集中力が上がり、生産性が向上します」というメリットを伝えると、理解を得やすくなります。
コツ5: 定期的な振り返りで自分の特性パターンを把握する
自分の「調子が良い/悪いパターン」を記録することで、対策が見えてきます。
振り返りシートの例:
| 日付 | 調子(5段階) | うまくいったこと | 失敗したこと | 気づき |
| 12/1 | ★★★☆☆ | 朝にTo-Doリスト作成 | 午後に集中力切れ | 午前中が勝負時間 |
| 12/2 | ★★★★☆ | 1タスクずつ完了 | 電話対応で混乱 | 電話の時はメモ必須 |
週に一度、5分だけでも振り返る習慣をつけると、自分の「取扱説明書」が完成していきます。

発達障害の特性を活かせる!おすすめの仕事7選
「自分に向いている仕事なんてあるんだろうか?」――そう思っているかもしれませんが、特性に合った仕事は必ず存在します。
過集中の強みが活きる「プログラマー・エンジニア」
向いている理由
- 一つのコードに没頭できる環境
- 論理的思考が重視され、曖昧なコミュニケーションが少ない
- リモートワークが普及しており、刺激の少ない環境で働ける
- 細部へのこだわりが「品質の高さ」として評価される
納期管理やチーム連携が必要な場合もあるため、自分でタスク管理できる仕組みは必須です。
ルーティン作業が得意な人向け「データ入力・検品作業」
向いている理由
- 手順が明確で、毎日同じ作業の繰り返し
- マルチタスクが少なく、一つのことに集中できる
- 正確性が求められ、丁寧さが評価される
- 対人コミュニケーションが最小限
単調作業に飽きやすいタイプには向かない場合もあります。
こだわりが武器になる「Webデザイナー・動画編集者」
向いている理由
- 細部へのこだわりが「クオリティの高さ」になる
- 自分のペースで作業しやすい
- 視覚的な仕事なので、言語化が苦手でも表現できる
- フリーランスとして働く選択肢もある
クライアントとのコミュニケーションは発生するため、メールやチャットでのやり取りに慣れる必要があります。
1人で完結できる「清掃スタッフ・在庫管理」
向いている理由
- 基本的に一人で黙々と作業できる
- 手順が決まっており、迷うことが少ない
- 体を動かすことで、過剰なエネルギーを発散できる
- 完了が目に見えるので達成感がある
体力が必要な仕事もあるため、自分の体調管理は重要です。
特性に応じた「在宅ワーク・フリーランス」という選択肢
向いている理由
- 通勤のストレスがゼロ
- 自分で環境を完全にコントロールできる
- 休憩のタイミングを自由に決められる
- 人間関係のストレスが最小限
自己管理能力が求められるため、タスク管理ツールの活用は必須。また、収入が不安定になるリスクもあります。
障害者雇用枠で働く「事務補助・軽作業」のメリット
向いている理由
- 企業側が配慮を前提に採用している
- 業務内容を特性に合わせて調整してもらえる
- 短時間勤務や週4日勤務など、柔軟な働き方が可能
- ジョブコーチなどの支援を受けられる場合もある
一般雇用と比較して給与水準が下がる場合があるため、生活設計は慎重に。
自分に合う仕事を見極める3つのチェックポイント
どの仕事が向いているかを判断する際は、以下をチェックしましょう。
- マルチタスクの頻度
複数の案件を同時並行で進める必要がある仕事は避ける - 指示の明確さ
「察する」コミュニケーションが多い職場は、特性上難しい場合が多い - 感覚刺激の強さ
騒がしいオフィス、頻繁な電話対応などは、感覚過敏がある人には負担
仕事が続かない時に頼れる3つの支援制度とサービス
一人で悩まず、プロの力を借りることが、仕事を続けるための最短ルートです。
就労移行支援事業所で自分に合う働き方を見つける
サービス内容
- 自分の特性を客観的に分析するアセスメント
- ビジネススキルやコミュニケーションのトレーニング
- 実際の職場を想定した実習プログラム
- 就職活動のサポート(履歴書添削、面接練習など)
- 就職後の定着支援(最大3年半)
利用条件
- 障害者手帳または医師の診断書・意見書があること
- 利用料は世帯収入に応じて決定(多くの場合は無料)
「自分の特性がよく分からない」「どんな仕事が向いているか分からない」という人は、まず就労移行支援の利用を検討しましょう。
障害者雇用専門の転職エージェントを活用する方法
主なサービス
- dodaチャレンジ、atGP、マイナビパートナーズなど
- 非公開求人を含む、障害者雇用の求人紹介
- 企業への配慮事項の伝達サポート
- 入社後のフォローアップ
- 一般の転職サイトには出ていない求人にアクセスできる
- エージェントが企業と条件交渉してくれる
- 特性に配慮した職場を紹介してもらえる
利用の流れ
- Webサイトから無料登録
- キャリアアドバイザーとの面談(電話・オンライン可)
- 求人紹介と応募
- 面接対策と企業との調整
- 内定・入社後フォロー
ハローワークの専門窓口と職業訓練を利用するステップ
全国のハローワークには、「専門援助部門」という障害のある人の就職支援を専門に行う窓口があります。
- 職業適性検査
- 職業訓練校の紹介(無料でスキルを学べる)
- トライアル雇用制度(3ヶ月の試用期間を経て本採用を目指す)
- ジョブコーチ支援(職場での実際の業務をサポート)
最寄りのハローワークで「専門援助部門」への相談を希望すると案内してもらえます。障害者手帳がなくても、診断書があれば相談可能です。
<出典元>
厚生労働省「就労移行支援・就労定着支援に係る報酬・基準について」 https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000674638.pdf
今の職場を続ける?辞める?判断するための5つのチェックポイント
「また今日もミスをしてしまった」「このまま続けても迷惑をかけるだけかもしれない」――そんな思いで、退職を考えている人も多いのではないでしょうか。
ここでは、冷静に「続ける」「辞める」を判断するための5つのチェックポイントをご紹介します。
チェックポイント1: 配慮を求める努力をしたか?
まず最初に確認すべきは、「今の職場で環境を改善する努力をしたか」という点です。
- 上司や人事に自分の特性と必要な配慮を伝えたか?
- 産業医面談や健康相談室を利用したか?
- 業務内容の調整や席の配置変更などを相談したか?
「配慮を求めたけど聞き入れてもらえなかった」という場合は、職場側に改善の意思がない可能性があります。
この場合、環境を変えることを前向きに検討してもよいでしょう。
一方で「まだ何も言っていない」という場合は、まず一度相談してみることをおすすめします。意外と配慮してもらえるケースも多いのです。
- 配慮を求めて改善された → 続ける価値あり
- 配慮を求めたが拒否された → 辞める選択肢を検討
- まだ何も伝えていない → まずは相談してから判断
チェックポイント2: 身体・心に深刻なサインが出ているか?
次に確認すべきは、あなたの心身の状態です。
以下のような症状が2週間以上続いている場合は、要注意です。
身体的なサイン
- 日曜日の夜から吐き気や腹痛がある
- 出社前に動悸がする、手が震える
- 睡眠障害(眠れない、または過度に眠る)
- 食欲不振、または過食
精神的なサイン
- 「消えたい」「死にたい」と考えることがある
- 趣味や好きなことに興味がなくなった
- 常に不安や焦燥感がある
- 涙が止まらない、感情のコントロールができない
- 深刻な症状がある → すぐに休職や退職を検討し、医療機関へ
- 軽度の疲労感程度 → 休養を取りながら継続も可能
- 症状がない → 環境調整で改善できる可能性が高い
上記の深刻なサインが出ている場合は、「辞める・続ける」の判断の前に、まず心療内科や精神科を受診してください。二次障害(うつ病や適応障害)を防ぐことが最優先です。
チェックポイント3: 特性と業務内容のミスマッチはどの程度か?
発達障害の特性と業務内容の相性を冷静に分析しましょう。
ミスマッチ度:高(辞める方向で検討)
- マルチタスクが必須の業務なのに、ADHDでシングルタスクしかできない
- 電話対応が業務の8割を占めるのに、聴覚過敏で電話が苦痛
- 曖昧な指示が多い職場なのに、ASDで明確な指示がないと動けない
- 顧客折衝が中心なのに、対人コミュニケーションが極度に苦手
ミスマッチ度:中(環境調整で改善可能)
- 一部の業務は得意だが、苦手な業務もある
- 配慮があればできるが、今の環境では難しい
- 業務内容の調整や役割分担の変更で対応できそう
ミスマッチ度:低(続ける価値あり)
- 基本的な業務内容は自分の特性に合っている
- ミスは起こるが、致命的ではない
- 工夫やツールの活用で改善できそう
- ミスマッチ度:高 → 職種や業界自体を変える転職を検討
- ミスマッチ度:中 → 配慮を求めるか、部署異動を相談
- ミスマッチ度:低 → 対策を講じながら継続
チェックポイント4: 職場に理解者や味方はいるか?
職場の人間関係も重要な判断材料です。
理解者がいる職場の特徴
- 上司が特性を理解し、フォローしてくれる
- 同僚が「大丈夫?」と声をかけてくれる
- ミスをしても「次はこうしよう」と建設的なアドバイスがある
- 障害者雇用の先輩や、同じ悩みを持つ同僚がいる
理解者がいない職場の特徴
- ミスをするたびに「またか」「なぜできないの?」と責められる
- 孤立していて、相談できる人がいない
- 「甘え」「やる気がない」と決めつけられる
- パワハラやいじめに近い扱いを受けている
- 理解者が複数いる → 続ける価値あり
- 理解者が1人でもいる → その人に相談しながら継続を検討
- 完全に孤立している → 辞める選択肢を検討
チェックポイント5: 次のステップの準備はできているか?
最後に、「辞めた後」のことを考えましょう。
辞める前に確認すべきこと
- 生活費の目処は立っているか?(最低3ヶ月分の貯金)
- 次の就職先の目処はあるか?または就労移行支援など支援機関とつながっているか?
- 障害者手帳や診断書など、必要な書類は準備できているか?
- 家族や支援者に相談し、理解を得ているか?
準備なしで辞めるリスク
- 焦って次の職場を決めて、また同じ失敗を繰り返す
- 収入がなくなり、精神的に追い詰められる
- 自己理解や対策を深めないまま、転職活動が難航する
- 準備ができている → 辞める選択も前向きに検討できる
- 準備ができていない → まずは支援機関への相談や情報収集から
- 心身が限界 → 準備よりも休養を優先(傷病手当金などの制度活用を)
判断に迷ったら、プロに相談する選択肢も
5つのチェックポイントを見ても、「自分ではどう判断していいか分からない」という人も多いでしょう。
そんな時は、一人で抱え込まず、専門家に相談することをおすすめします。
- 就労移行支援事業所(無料相談で、自分の特性分析や今後のキャリアを一緒に考えてくれる)
- 障害者就業・生活支援センター(働き続けるための相談に乗ってくれる)
- 障害者雇用専門の転職エージェント(転職すべきかの判断も含めて相談可能)
「今の職場を続けるべきか、辞めるべきか」――この判断は、あなたの人生を大きく左右します。
焦って決めず、客観的な視点も取り入れながら、自分にとって最善の選択をしてください。
就労移行支援の無料相談では、キャリアカウンセラーがあなたの状況を丁寧にヒアリングし、「続ける」「辞める」どちらの選択が最適かを一緒に考えてくれます。
一度、プロの意見を聞いてみるのも良い選択肢です。

二次障害(うつ病・適応障害)を防ぐために知っておくべきこと
発達障害そのものよりも深刻なのが「二次障害」です。
これは、仕事でのミスや周囲からの否定的な言葉が積み重なることで生じる、うつ病や適応障害などの精神疾患を指します。
発達障害の特性そのものは「脳の個性」ですが、適切なサポートがない環境で無理を続けると、二次障害として心身に深刻なダメージが生じてしまいます。
- 2週間以上、気分の落ち込みが続いている
- 出社前に吐き気や動悸がする
- 「消えたい」「死にたい」と考えることがある
- 眠れない、または寝すぎてしまう
- 以前楽しかったことに興味がなくなった
これらの症状が出ている場合は、「仕事を続けるか辞めるか」を考える前に、まず心療内科や精神科を受診してください。
二次障害は治療が必要な病気であり、我慢して乗り越えられるものではありません。
重要なのは、二次障害は「予防できる」ということです。
自分に合った環境で働く、適切な支援を受ける、無理をしすぎないという選択をすることで、発達障害があっても健康的に働き続けることは十分に可能なのです。
もし今、心身に深刻なサインが出ているなら、それは「環境を変えるべき時」のサインかもしれません。
就労移行支援などの専門機関に相談し、自分を守るための行動を取りましょう。
よくある質問と回答(FAQ)
Q. 発達障害の診断を受けていなくても支援は受けられる?
A. はい、多くの場合は受けられます。
就労移行支援事業所やハローワークの専門窓口では、医師の診断書や意見書があれば、障害者手帳がなくても支援を受けられることがほとんどです。
まずは心療内科や精神科を受診し、自分の困りごとを相談してみましょう。診断がつかない場合でも、「適応障害」などの診断で支援につながるケースもあります。
Q. 障害者雇用だと給料が下がるのでは?
A. 確かに一般雇用より低い場合もありますが、必ずしもそうとは限りません。
障害者雇用でも、フルタイム勤務で月給20万円以上の求人は多く存在します。また、短時間勤務から始めて徐々に時間を増やすという働き方もできるため、無理なく収入を上げていくことも可能です。
大切なのは、「続けられる環境」で働くこと。短期離職を繰り返すより、安定して働き続けられる方が、長期的には収入も安定します。
Q. 今の職場で配慮をお願いするにはどうすればいい?
A. まずは産業医や人事部に相談してみましょう。
企業には「合理的配慮」を提供する義務があります。具体的には:
- 業務内容の調整(マルチタスクを減らす、など)
- 勤務時間の柔軟化(時短勤務、フレックスタイム)
- 環境調整(静かな場所への席替え、など)
診断書があれば、より具体的な配慮を求めやすくなります。「自分の特性」と「必要な配慮」を具体的に伝えることがポイントです。
Q. 何度も転職を繰り返していると採用されにくい?
A. 障害者雇用や支援付き就職では、短期離職歴があっても大きな問題にはなりません。
むしろ、「なぜ続かなかったのか」「今回はどう対策するのか」を説明できる方が重要です。就労移行支援や転職エージェントを利用すれば、職歴の伝え方もサポートしてもらえます。
「過去の失敗」ではなく「自己理解が深まった経験」として前向きに伝えることで、企業側も「今度は定着できそうだ」と判断してくれます。
まとめ: 仕事が続かないのはあなたのせいじゃない――次の一歩を踏み出そう
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
この記事でお伝えしたかったのは、「仕事が続かないのは、あなたの努力不足でも人間性の問題でもない」ということです。
それは脳の特性によるもので、適切な対策と環境さえあれば改善できるものなのです。
- タスク管理アプリを一つダウンロードしてみる
- 自分のミスパターンをメモに書き出してみる
- 就労移行支援事業所の無料相談に申し込んでみる
どんな小さな一歩でも構いません。まずは「自分を責めることをやめる」ことから始めましょう。
「自分に合った働き方」を見つけるために、一人で抱え込まず、プロの力を借りてみませんか? 就労移行支援や就労継続支援の無料相談では、あなたの特性を客観的に分析し、最適な働き方を一緒に探してくれます。
明日からの仕事が少しでも楽になりますように。そして、「自分らしく働ける場所」に出会えることを、心から願っています。

柏本 知成(かしもと とものり)
株式会社KyoMi 代表取締役
「働きたいけど働けないをゼロに。」を使命に、障がいやメンタル不調を抱える方々の就労支援事業を展開。就労移行支援・就労継続支援B型事業所を愛知県内に複数運営し、リワーク支援や障がい者採用コンサルティングも手がける。発達障害のある方が自分らしく働ける環境づくりと、企業との橋渡し役として、実践的な就労支援に取り組んでいる。
